アリスの誓い
アリス・・・僕とそっくりのその女は
月の光を浴びながら
暗い暗い森の中で
この国の言葉では聞き取れない
不思議な歌を歌っている
不本意にも 僕はその歌に聞き惚れてしまっていたようで
認めたくは無いが
僕よりも深く 澄んでいる 蒼い瞳を
ジッと見つめていた
「・・・これが、ハート王国の昔から伝えられている 『ハートの歌』」
またハート・・・
再び気持が悪くなって アリスから目を離す
なんだってこいつは こんなに赤や黒が好きなんだ
「ありす、スペード王国には 『スペードの歌』があるって聞いたんだけれど、それ歌ってみて」
は?
「ちゃんとあたしの歌を聞かせたんだから、今度はありすが歌って」
そんなの知るか 僕に命令するな!
「命令じゃないわ、お願いよう」
同じようなものだろ・・・
「一回だけ、お願い!」
うざすぎる なんだこの女
知るわけない といおうとしたとき
この国の言葉ではないはずなのに
知らないはずなのに
自然と頭に歌詞が浮かんできた
・・・なんだよこれ
思わず顔をしかめる
こいつは目ざとく そのことに気づいたらしく
にこにこと嬉しそうに微笑んでいる
・・・一回だけだからな
もう二度と歌わないからな
「うんうん、それでOK!」
二つ返事で言うアリスを 半眼で睨んでから
思い切り 息を吸う
『スペードの国の黒の色 光を受けし 黒の色
全てを黒で覆うべし 全てを黒で倒すべし
黒とは最高の剣 黒とは最上の正義
黒に映えるは赤い星 黒に尽くすは赤の国』
そこまで歌ったところで
『ハートの国の赤の色 光を受けし 赤の色
全てを赤で守るべし 全てを赤で庇うべし
赤とは最高の盾 赤とは最上の守護者
赤に映えるは黒い星 赤を使うは黒の国』
なんだこれ・・・?
掛け合っているのか・・・?
『お互いを傷つけ 憎しみあう』
『お互いを助け 愛し合う』
『黒と赤は 正反対の敵』
『赤と黒は 対になる仲間』
『憎しみあえ』
『愛しあえ』
『僕達は』
『私達は』
『たった一つの心を守るために』