―空に記憶を預けにいくよ―
「なぁ、ダガー、俺達そろそろ・・・・・」
「ダメよ!まだまだやらないといけない事が沢山あるんだもの」
「・・・は〜い」
しっぽを揺らしながら、つまらなそうにテラスに出て行く少年―――――ジタン・トライバルは、頭上に広がる空に目を向けた。
どこまでも続く蒼い空。雲は幾つかあるだけ。葉についた朝露は、空の蒼を映している。
地平線の向こうは、まだ時間が早いので朝日色に輝いている。
「もう・・・2年近く経ったんだよな」
ふと、ジタンが独り言のように言う。
その言葉に、少女―――――ガーネットことダガーも顔を上げ、空を眺める。
「そうね・・・・・・皆、どうしているかしら・・・?」
「俺達と同じさ。幸せに暮らしてるよ」
ダガーが小さく笑う。
「そうね。幸せね」
ジタンも歯を見せて笑う。
「・・・・・・彼は・・・・・・帰ってくるかな」
寂しそうに、はるか遠くの朝日色の空を見据える。
「きっと、帰ってくるさ。「預けに行く」って言ってたんだ」
「そうね・・・帰ってきてくれるよね・・・」
そう言うと、2人は黙って空を見つめ、想いをめぐらせる。
一年前と変わらない美しさで、空はここにある。
あれから、何が変わっただろう
止まってしまった仲間のことを、忘れながら、想いながら進んでいく。
彼の時間は止まったままだけど、他の人々は進んでいく。
時空の中において行く様に。記憶から、消去するように。
なぜ・・・だ・・・・・
闇が・・・見えぬ・・・・・
・・・・・・・あの虫けら共が・・・・・・・!
我を怒らせたことを・・・・・・・・後悔させてやる・・・・・・・・・・・・!
ふ・・・ははははははは・・・・!
闇が確実に迫ってきている事を、まだ誰も知らない。
一人目の犠牲者が出るのは、そう遠くは無い未来。